弓道十段・武田豊(新日本製鉄前社長)さんが紹介する「雨露離(うろり)」の極意。雨露離とは、1滴の雨水が自然に滴り落ちるような“弓と矢の離れ”…とても風流で素敵な奥伝ですね。
大脳の生理学・こんないい話
弓には、雨露離という言葉があります。
(中略)
軒先の雨露がだんだん大きくなって、そしストンとおちていくごときのものです。その露のような弓の離れでなければいけない。
雨つぶが落ちるタイミングは、量が適量になったとき。早過ぎず遅すぎず…量で決まっている。弓矢も同じように、“弦”の張りと“気持ち”の張りが満ち満ちたとき。矢を放つことではなく、限界(到達点)まで満たす意識がポイントなのだと思われます。
“弦”の限界は、弓を引く呼吸の終息点…息を吐ききり、お腹(丹田)に力が充実している瞬間。“気持ち”の到達点は、的に矢が刺さっているイメージの増幅。二つが重なった瞬間が、この「雨露離」の感覚なのかもしれないですね。