「二重の極め」で威力を背中に通す「裏当て」

お腹を叩かれたのに背中が痛い…衝撃が体内を貫通する空手の“裏当て”を紹介されている金澤弘和さんのくだり。瞬間的に二度攻撃を当てる感覚…“二重の極め”が興味深いです。

 具体的に言えば、当ててからさらに肩を瞬間的にはずす(入れる)ようにして2度極めをするものです。それと、今度は腰のコントロール、次いで肘のコントロールで、同じく当たった瞬間にさらに入れます。最終的にはこの3つが調和することですね。

空手道外伝 奇襲裏技 必殺㊙テクニック

 金澤さんご本人は、知らず知らずに自然と“二重の極め”を行っていたそうで、中国武術研究家の松田隆智さんが道場へ訪れた際に、ご指摘くださったとのこと。続く後段で、金澤さんはイメージと呼吸についても語られていて、とても気になる内容でした。

 “二重の極め”というと、週刊少年ジャンプで掲載されていた和月伸宏さん著作の『るろうに剣心』に、“二重の極み”という拳術(打撃技)が使われていますよね。京都編に登場する“悠久山安慈(志々雄真実の十本刀の一人・明王の安慈)”が体得した破壊技で、後に相楽左之助の必殺技として活躍されていますね。

 佐藤健さん主演で実写映画化された『るろうに剣心』でも、相良役の青木崇高さんがそれっぽい動きをされていました。和月さんの漫画は、二階堂平法の“心の一方”など、実際に存在した技術が元(モチーフ)になっていることもあるので、何か資料はないかと気になっていました。

 漫画とは破壊力(粉々に粉砕する効果)が全然違いますが、本当に“二重の極め”が実在し、体現されている方がいらっしゃるんですね。空手の“裏当て(透し)”の技法は、いくかの書籍で読んだことがありますが、“二重の極め”として紹介されている書籍に初めて出会いました。刹那の瞬間に二度攻撃を当てるというのは同じですから、和月さんは空手を参考にされたということでしょうか。